唯くん、大丈夫?

モグモグタイム。

2限目のてらちんによる拷問のような数学の時間を終え、昼休みになった。

「羽根村さんっていつもお弁当?」

「うん!委員長は?」

「私も。一緒に食べよーよ」

「うん!食べよー!」


唯くんは…

教室を見渡すも、唯くんの姿はない。

あ、食堂か。

いつだったかお友達と食堂で食べてるのを見たことがある。

じゃーお昼は別々かなぁ。


「わ。委員長のお弁当美味しそうー!」

「そう?冷食ばっかだよ。そういう羽根村さんのお弁当は?」

「朝時間ないからねー、残り物ばっかりだよ。ほら」


肉じゃがと、ゆで卵と、ひじき煮と、たくあんと、ピーマンのおかか和えと…
ここにお味噌汁を足したら昨日の夕飯とほとんど変わらない。


「これ、もしかして羽根村さんが?」

「あ、うん。うち父子家庭だから私がご飯担当なんだ」

「へー、すごい。美味しそう」

「えへへー!食べてみる?」

「いいの?」

「うん!はい、あーん」


お箸でつまんだ肉じゃがを向ける。

委員長がかぶりつこうと口を開けた。


「あー…」


はむっ。


「…」


もぐもぐもぐもぐ。


…ゴクン。


「…ウマイ」


そう言ったのは委員長じゃなくて、


「唯くん!」
< 170 / 456 >

この作品をシェア

pagetop