唯くん、大丈夫?
唯くんの背中にドシッとのりかかる短髪の男の子。


唯くんは反動で危うくお弁当に顔を突っ込むところだった。



「…仲山、重い。」


「ねー俺も混ぜて!」


「やだ。」


「何でだよー!」


「いいからどいて」


「なぁ一緒に食おうぜ。いいっしょ?しおりん!羽根村!」



野球部の、仲山 晴翔(ナカヤマ ハルト)君。

明るく爽やかで、男女問わず人気のある男の子だ。

3年間唯くんと同じクラスで、よく一緒にいて戯れてるのを見たことがある。



「勿論だよ!一緒に食べよ〜!」


私がヘラヘラ答えると、すかさず仲山くんが「あざーーーす!!」と唯くんの前の空いてる席に座ってニコニコと委員長を見た。


「しーおりん♡」


委員長は、これぞ愛想笑い、という笑顔を一瞬浮かべてすぐ、真顔に戻してお弁当を食べ始める。


「クゥー!そのつれない態度、たまんねー!」


「うっさいなー。めんどいなー。」


「わはは。いやー、今日も美人だなー!タイプだわ〜」




…ふむ。なるほど、なるほど。


私はとてもわかりやすい相関図に頷いて、無表情で私のお弁当を食べる唯くんに目を向けた。
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