唯くん、大丈夫?
「…」


この世のものとは思えない絶景に、声を失くした。


「おー…」


唯くんは私の隣で静かすぎる歓声をあげる。


間髪入れずに花火がどんどん上がって、色とりどりの花を咲かせていく。


山から見る花火は500円玉くらい小さくて、尊い。


広い空と、

キラキラの街と、

片手に収まってしまう花火大会。



そして、



隣でそれを静かに見守る、

なによりも大好きな、

なによりもキレイな人。






胸が苦しい。



息の仕方がわからない。





この景色の壮大さに、


小さくて大きな花火たちに、


それを大好きな唯くんと見てるということに、



心が揺さぶられてしょうがない。






「…なに泣いてんの」


「…え?」






唯くんに言われて初めて気がついた。




「え、えぇ〜、ほんとだ、なんで?はは」




慌てて拭ってると背中にトン、と感触があって後ろから腕が伸びてくる。



「!」

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