唯くん、大丈夫?
「…つーかあの衣装、やっぱ駄目だったな。」


「ん?」


「メイド服。あれは目に毒だ。」


てらちんは神妙な面持ちで言う。


「えぇ…そうだったんだ…」


「ああ。今後は間違ってもあんな服着るなよ」



そんなぁ…。

みんなに褒められて調子に乗ってた。

人によっては目に毒だったんだ。

申し訳ないな…



落ち込む私にハッとしたてらちんが、少し慌てた様子でファイルを閉じる。



「…あーちがう、羽根村。悪い方の意味じゃない。男のツボ的に、なんというか…その、あー…」


「?」


珍しく煮え切らないてらちんを、私は首を傾げて見上げた。




「…」




てらちんがもどかしいような、切ない表情で私を見る。




「てらちん…?」




こんな表情のてらちん、初めて見た。




「その仕草、ヤバいな」



「え?」




てらちんが続けて何か言おうと口を開いたとき、












「センセー終わりました。」



唯くんがてらちんの顔にベシャッと原稿用紙を叩きつけた。








ゆ…唯くん…なんて雑な提出…


てかなんでちょっと瞳孔が開いてるの?








「…ご苦労さん。」



それをよけたてらちんは、いつもの先生の顔をしていた。





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