唯くん、大丈夫?

クズくん。

しっとりと暗い部屋のガラステーブルで、スマホがヴヴ…と振動して画面を光らせた。




「…」




ベッドから起き上がって、半裸のままトーク画面を開く。






『みねくん、心配してくれてありがとう!唯くんすっごくすっごくかっこよかったんだよ!今度会ったとき聞いて!小1時間聞いて!』






「…ふ」






小1時間って。拷問かよ。






「女ー?」



ついさっきまで自身が余裕なく乱れていたベッドの上で、下着だけ身に纏った女がタバコに火をつけた。



「うん」


「彼女?」


「んーん、お友達。」



俺はスマホを操作して『や』『だ』と打ち込む。



「あー、私と同じか。」


「…いや、そっちのフレンドじゃなく」


「え?セじゃないフレンド?」


「うん」



俺は小馬鹿にしたうざ顔のスタンプを添えて送信ボタンを押す。



「へー、珍しい。誰でもヤっちゃうクズ君が。」


女はそう言ってタバコを燻らせて笑った。


「…ガード堅いんだよね」


「ふーん。じゃあガード外れたら食べるの?」


「や、食べない。」


「なんで?」


「んー、こっちに連れて来ちゃいけないタイプっているじゃん?」


「あーね。どんな子?」


「変なやつ。かわいいよ、赤ちゃんみたいで。白くてぷにっとしてて、マシュマロみたい。」


言いながらヘラヘラ笑う優花を思い出して、つい笑みが溢れる。


「…うわうわ。」


女が煙草を消して俺の顔を覗き込む。


「ん?」


「光、それさぁ」


「うん?」


「恋しちゃってない?」







…は?







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