唯くん、大丈夫?
階段を上がってすぐの部屋の前に、冷え切ったオムライスが置かれてる。




…また食ってねーのか。




俺はもう何年も開いたところを見てないドアをノックする。




「姉ちゃん…?」











「ちゃんと食えよ。今日は姉ちゃんの好きなオムライスだよ」





…ガサガサッ、


バン!!






「…」






多分、ドアに何かを投げつけられた。






…よかった。生きてる。





俺は隣の自分の部屋に行って、ベッドにもたれて目を閉じる。

相変わらず下からは言い争ってる声が聞こえてくる。

ああした方がよかった、こうした方がよかった。

そんな過去の話を永遠と責め合って、お互いが疲弊するまで続く。

『離婚』という単語が聞こえて、俺は目を開けた。







「……勉強、しなきゃ」






気が逸れないようにスマホの電源を落とそうと手を伸ばした。







ヴヴ…



「!」







『うん!まったね〜!』


そう言って能天気にニコニコ飛び跳ねるウサギ。







「…」











『辛い時に一番に会いたくなっちゃったら、それはもう末期だよ』















「……勘弁してくれよ……」














向いてないんだよ。




不毛な恋なんて。





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