唯くん、大丈夫?
Graduation

ノーヒーローズ。

「おーし、じゃあ今度会うのは卒業式の予行演習の日だな。卒業前にハメ外しすぎんなよー。」



響き渡る鐘の音にてらちんの気怠い声がのって、クラスのみんなが立ち上がってザワザワし始める。

今日の授業はお昼でおしまい。

私たち3年生は、明日からしばらく自由登校になる。






この教室に唯くんはいない。



正確に言うと、いなくなった。



ついさっきまで私から1番遠い、いつものあの席にちゃんと座ってたのにもういない。







「羽根村」




その声にハッと顔をあげる。




「大丈夫か、お前」


眼鏡の奥で心配そうな目をしてるてらちんが、私の机の横に立ってる。


「あーてらちん〜」

「顔が青白すぎて笑えないんだよ。大丈夫か?家まで送るか?お父さん呼ぶ?」


言われてみれば寒気がして少し気持ち悪い。

風邪をひいたみたい。

まだまだ寒いこの季節にあんな雨に降られてしばらくいたんだから、当たり前だよね。

唯くんとみねくんは大丈夫かなぁ。
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