唯くん、大丈夫?
「だぁーいじょうぶ!ちゃんと歩いて帰れるよぅ」

私はピースしていつもの笑顔を添えてみせるけど、てらちんは眉間に皺を寄せて納得がいってない様子。


「九条はどこ行った?一緒に帰るんだよな?」

「あ…うーん…?あはは」



私が笑って誤魔化し、てらちんが訝しげな顔で何か言おうとした時「寺田先生ー!」とクラスの女の子がてらちんを呼んだ。



「お呼びでっせ〜」


私は何か言いたげなてらちんに手をヒラヒラさせる。



「…」



てらちんは私を少し見下ろした後、私の頭をポンと叩いた。



「…なんかあったら職員室寄って」



そう言い残して私に背を向けた。




…いい先生に恵まれたなぁ。

てらちんに心配させないように早く帰ろう。




席を立ち上がって、みんなにいつも通り手を振りながら廊下に出た。
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