唯くん、大丈夫?

INBA。

時刻は18時55分。


とっぷりと暗くなった春休み中の稲田橋大学に明かりは少ない。


私はパーカーとスウェットにスニーカー姿で、静かな稲田橋大学の門をスーツケースをゴロゴロと響かせて抜ける。




稲大は明応大とも肩を並べる日本を代表する高偏差値の大学。


キレイでおしゃれなキャンパスが人気だ。




ちなみに、堂々とこのおしゃれなキャンパスを歩いている私はここの学生じゃない。




私が通っていたのはお隣、直山学院大学。




私は見事に第一志望の明応大に落ち、ギリギリ補欠合格で直山学院大学に受かったのだ。




稲大のキャンパスを抜けてのっそりと現れた体育館の重たい扉を開けると、まぶしい中の光が漏れて私を照らす。




「おばんでーす!」


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