唯くん、大丈夫?
思わず高校三年生にタイムスリップしていた私は、みね君の明るい声で現実に引き戻された。



「あの頃に比べたらほんと垢抜けたよなぁ、優花。」


「え?そう?」


「うん。昔は赤ちゃんみたいで、それはそれで可愛かったけど。なんていうか…女性になった。」


みね君が顎に手を添えてまじまじと私を見る。

確かに高校生の時に比べたら美容にお金をかけるようになったし、少し瘦せたとは思う。

中身はほとんど変わってないけど。


「えへへ。やったぁ!」


私が笑うと、みね君が私の手を両手で握った。


「…うん。かわいい。超かわいい。超タイプ。好き。大好き。結婚しよ。」


「…」


みね君は真顔だ。



「おーい!そろそろ始めようぜ、そこのバカップル~!」



体育館の真ん中から元副支部長の種田君が呼ぶ。



「はぁーい♡」


みね君が返事をして立ち上がり、すかさず駆け出す。


「ちょっと!カップルじゃないよ!!」


慌てて否定しながら私も立ち上がって後を追いかける。


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