唯くん、大丈夫?



「…」







小さく赤く染まった唯くんのうなじを映すわたしの目から、

不意にふた粒目の涙が落ちた。












ばかだなぁ。私。






唯くんみたいなかっこいい人に、彼女がいないわけないじゃん。



何を期待してたんだろう。

冷静に考えればわかることだ。



唯くんは単純に、就活について聞きたかっただけで

お酒が好きだから飲みたかっただけで

それにきっと、美琴の気持ちを汲んで飲みに誘ってくれただけで



あの日から時間が止まってたのは

私だけだったんだ。














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