唯くん、大丈夫?
「何言ってんの?就活なんて必要ないわよ!
こんなタイミングで辞めるなんてありえない!」


「でも俺ただのバイトだし」


俺は白井さんの言葉を右から左に受け流して帰りの支度を始める。


「この世界にバイトもクソも無いの!駄目、絶対駄目!こんなこれからってときに辞めさせたなんて知れたら私、クビどころじゃ済まないわ…!」


「…一緒に就活する?」


「え?トゥンク……てせぇへんわ!!」


「おー」

おれは白井さんの華麗なノリツッコミに拍手を送る。


「ふっざけんな!絶対にやめさせねぇからな!!」


「元ヤン出てるよ白井さん」


「あらやだ」


白井さんが着ているジャケットを整えて気を取り直すのを横目で見ながら、キャップを深く被って楽屋の外に向かう。


「ゆ〜〜〜い〜〜〜!お願い、考え直して!この通り!それに今日はamamの、」


「もう写真撮られる意味無いんで。」


俺は白井さんの言葉を遮って、取り忘れていた衣装小物のバングルを白井さんの手に握らせる。


「え?」


「じゃあよろ」


「あっ、ちょっと、唯!!」
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