唯くん、大丈夫?

玉落としの変。

「…え!?キス!?」




体育の授業の真っ最中。




バスケットボールを私に投げようと持ち上げたまま驚いて固まる美琴に、周りの視線が集まる。



「あ…あー、美味しいよね〜キスの天ぷら!」


「ねー!今夜はキスの天ぷらにしようかなぁ」



視線をよこしていたみんなはまんまと「あ、魚の方か」と納得して平和にパス練に戻る。


ちなみに今夜はキスの天ぷらにはしない。

絶対に、しない。


気を抜くとまた思い出して顔に力が入ってしまうのを、両手で潰して変顔にする。


「…何してんの優花」

「顔の筋肉をほぐしているの」

「顔が白子みたいになってるからやめな?」



私たちも気を取り直してボールをパスし合う。


「…それにしても唯…いくらなんでもボーッとしすぎじゃない?」

「そう!そうなんだよ!普通される前に気付くよね!?」

「…そういえば昨日今日と朝からすごい眠そうにしてたな。」


美琴に言われて気がついた。

確かに唯くん、今朝もあくびをたくさん出してすっごく眠そうにしてた。


「期末近いし、遅くまで勉強してるとか?」

「うーん…?」


唯くん、そんなに必死で勉強するタイプじゃなかったけどな…?




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