唯くん、大丈夫?

ドロドロ、ズルリ。

…なんてこった。



聖母、奔放か?自由奔放か?




「…」



チラリと唯くんの方に目を戻すと、可愛らしく背中にくっつく紫藤ユリアの姿にまた胸がズキンと痛む。


相変わらずそのしなやかな手を外す気配のない、唯くん。







…痛い



心が、痛い。










「優花は?」






呆然と立ち尽くしている私の名前を唯くんが言った。

胸が苦しくて声が出せない私を、試すような目でまっすぐ見ている。





「なんか言いたいことあるんじゃないの」






何もかもを見透かすような目


捕らえた獲物を逃さない肉食動物の目



怖い





見ないで



私のドロドロな汚い心、見透さないで





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