イノセント・ハンド
~夜~
宮本と紗夜はヘトヘトで署へ戻った。
『サヤ。初日からご苦労だったな。もう今日は帰っていいぞ。』
『課長~。俺には一言ないんですか?』
宮本が冗談でぼやく。
『そうだな。ご褒美の品をやろう。』
富士本が段ボールの箱を手渡す。
表には『宮元刑事殿。豊川。』と書いてある。
『ゲッ!マジかよ~。こんな沢山!オマケに漢字間違ってるし。元じゃなくて本だって。』
『昼にとどいたよ。何のテープだ?』
『あ~ら、ジュン。また、いかがわしいモノじゃないわよね?』
咲(さき)が茶化す。
『ち、違いますよ!それに、『また』なんて誤解される様なことを言わないでくださいよ!』
慌てながら紗夜の顔を覗く。
が…相変わらずの無表情である。
『課長。あれは何の騒ぎですか?』
窓の下を見下ろしながら、宮本がつぶやく。
『もう来やがったか。』
表の駐車場に、黒塗りの車が10台ほど入って来た。
『今日の爆発は、幸い怪我人もなくて済んだが、どうやら事態は大事らしい。』
『あの爆発は、確かにイベントを狙ったとは思いますが、誰もいないセットに仕掛けられたもの。人に危害を加える為のものではありませんでしたが?』
紗夜の疑問符。
『だが、その騒ぎで飛び出した警官隊の詰め所から、拳銃が盗まれたんだよ。』
『えぇ!』
『そ~して、その直後。警視庁に、来週の記念イベントへの爆破予告が届いたのよね~。ご丁寧に、警視総監宛にね。』
咲がつまらなそうにつぶやく。
『で…この騒ぎか…。』
『サヤ、捜査本部が敷かれる前に、今日は帰りなさい。』
富士本の予定では、久しぶりに親子で(彼自身はそう思っている)晩飯でもと考えていたのだが、そうはいかなくなった。
『あ、サキさん車ですよね。彼女新宿方面らしいから、載せて行ってあげませんか?』
『あら?そうなの。いいわよ。途中で何か食べましょ。おごるわよ。』
『あ、いえ。新宿は通らないので。それに…悪いから。』
(えっ?何で?)
『でも今朝、新宿駅に…』
『いいからいいから。どこでも送るわよ。さっさと行きましょ。』
宮本の疑問など全く気にせず、咲は今夜の食事の相手ができて喜んでいた。
宮本と紗夜はヘトヘトで署へ戻った。
『サヤ。初日からご苦労だったな。もう今日は帰っていいぞ。』
『課長~。俺には一言ないんですか?』
宮本が冗談でぼやく。
『そうだな。ご褒美の品をやろう。』
富士本が段ボールの箱を手渡す。
表には『宮元刑事殿。豊川。』と書いてある。
『ゲッ!マジかよ~。こんな沢山!オマケに漢字間違ってるし。元じゃなくて本だって。』
『昼にとどいたよ。何のテープだ?』
『あ~ら、ジュン。また、いかがわしいモノじゃないわよね?』
咲(さき)が茶化す。
『ち、違いますよ!それに、『また』なんて誤解される様なことを言わないでくださいよ!』
慌てながら紗夜の顔を覗く。
が…相変わらずの無表情である。
『課長。あれは何の騒ぎですか?』
窓の下を見下ろしながら、宮本がつぶやく。
『もう来やがったか。』
表の駐車場に、黒塗りの車が10台ほど入って来た。
『今日の爆発は、幸い怪我人もなくて済んだが、どうやら事態は大事らしい。』
『あの爆発は、確かにイベントを狙ったとは思いますが、誰もいないセットに仕掛けられたもの。人に危害を加える為のものではありませんでしたが?』
紗夜の疑問符。
『だが、その騒ぎで飛び出した警官隊の詰め所から、拳銃が盗まれたんだよ。』
『えぇ!』
『そ~して、その直後。警視庁に、来週の記念イベントへの爆破予告が届いたのよね~。ご丁寧に、警視総監宛にね。』
咲がつまらなそうにつぶやく。
『で…この騒ぎか…。』
『サヤ、捜査本部が敷かれる前に、今日は帰りなさい。』
富士本の予定では、久しぶりに親子で(彼自身はそう思っている)晩飯でもと考えていたのだが、そうはいかなくなった。
『あ、サキさん車ですよね。彼女新宿方面らしいから、載せて行ってあげませんか?』
『あら?そうなの。いいわよ。途中で何か食べましょ。おごるわよ。』
『あ、いえ。新宿は通らないので。それに…悪いから。』
(えっ?何で?)
『でも今朝、新宿駅に…』
『いいからいいから。どこでも送るわよ。さっさと行きましょ。』
宮本の疑問など全く気にせず、咲は今夜の食事の相手ができて喜んでいた。