イノセント・ハンド
信じがたい事実が、明らかになっていく。

しかし、3人はその事実を口にできずにいた。

そして、宮本が思い切った。


『地下鉄での殺人と自動車事故。全てこの少女のしわざ。そしてそれは・・・、サヤさん自身。』

『幼児虐待の子供を守るためではなくて、養父である姫城警部を殺された復讐ってことね。』

『彼女の中に・・・、恨みに狂ったあの少女がいるんだ。彼女はそれに操られている。彼女は、新宿駅も、銀座のモールにも、無意識の内に誘い込まれていた。あの少女は、きっと何らかの接点を作らないと、自分一人では標的に近づけないんだ。』

『言い忘れてましたが・・・』

白沢が口を挟む。

『獄中で平瀬了が死んだのは、彼女が訪問した直後です。』

『平瀬はきっと、少女の誘いに乗らなかったんだな。もしかして・・・』

富士本が気付く。

『この署へ来たのも、誰かと接触するため・・・。』

『あれ?』

白沢が、テーブルに置かれた北島恵美の資料に目をやる。

『秀明高校って、確か・・・竜馬が出た高校ですね。』

『何だって!!』

『私と竜馬、いえ、風井警視は同期なんですよ。彼は雲の上へ行ってしまいましたけどね。』

『課長!』

『もう一人のターゲット・・・それは風井竜馬か!!』

『姫城警部を殺害した3人の最後の一人は、風井竜馬!?それを父である警視総監が、山岸たちに罪をかぶせ、闇に葬ったってことね!!なんてヤツ!!』

『サヤさんは・・・いや、もう一人の少女のサヤは、その力を養うために、警察に入り、アメリカで専門の訓練を受けた・・・。そして、ここへ。全て復讐のために!!』

『なんてことだ、あの少女の計画に我々は・・・。彼女を止めるんだ!!』
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