たとえ9回生まれ変わっても


みんなと同じ、黒い目になりたい。
ずっとそう思っていた。

前に一度だけ、変えようとしたことがある。

高校に入学するとき、わたしはお母さんに、黒色のカラーコンタクトにしたいと言った。
返事は、即答で「ダメよ」だった。

『その瞳は、おばあちゃんから受け継いだものなんだから。恥ずかしがったりしないで、堂々としていればいいのよ。そしたら誰も何も言わなくなるから。それに、シオともおそろいだって、喜んでたでしょう』

お母さんはそう言って、わたしを諭した。

優しい口調だけれど、有無を言わさない物言いだった。

あなたはおばあちゃんにそっくりね。

小さいころから、ずっとそう言われてきた。

だけど、わたしはおばあちゃんを知らない。

一度しか会ったことがない人のことなんて、覚えていない。

みんなと違う目なんて、受け継ぎたくなかった。

シオがやってきたとき、わたしは「おそろいだね」と言ったのを覚えている。

でも、喜んでいたわけじゃない。

どちらかといえば、同情に近かった。

もしかしてこの子も、みんなと目の色が違うから仲間外れにされちゃったのかな。
そう思ったから。

『なんであおのちゃんの目って青いの?』

ずっと、自分の青い瞳が嫌いだった。

こんな目いらない。
目立ちたくなんかない。

わたしだって、同じがよかった。


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