ずっと探していた人は
「勉強なら、俺としない?」
涼くんの笑顔がどんどん曇る。
「俺、そんなに賢くないけど、2年生の内容ならきっとわかるとおもうよ」
だから、一緒に勉強しよ?
そう言いながら涼くんが、私の手を取る。
「あー、えっと、」
「この前加恋が行きたいって言っていたカフェで勉強しようよ」
食べたいって言っていたシフォンケーキ、買ってあげるよ?
私と視線を合わせながら言う。
「涼くん…………」
シフォンケーキにつられたんじゃない。
ただ涼くんの曇った、寂しそうな笑顔を見るのがつらくて、思わず私はうなずいた。
その時だった。
教室のドアが、ガラガラと音を立てながら開いた。
「あっ」
出てきた本人は、少し気まずそうに私を見ると、視線を下に向けた。
「ごめん」
邪魔をしたとでも思ったのか、トイレに行きたくて、と彼はもごもごと言ってから、涼くんをみてぺこりと頭を下げた。
「大橋くん、勉強、順調?」
なんとも言えない空気をごまかしたくて、私は彼に尋ねた。
「う、うん」
大橋くんは少し目を見開いて答える。
「あ、けど、英語、あとで質問してもいい?」
「わかった」
即答した私に、大橋くんは遠慮気味ににへっと笑った。
“滝川さんの、おかげ!”
トイレのほうへ去っていく大橋くんの背中を見ていると、嬉しそうに断言してくれた様子が自然とよみがえる。
「涼くん、ごめん」
気が付くと私は謝っていて、自分でもハッとした。
「なにが?」
涼くんは確かめるように私に問う。
「一緒に勉強してくれるんだよね?」
私の顔を覗き込む涼くんから視線を逸らす。
「ごめんね、ずっと前から今日はみんなと一緒に勉強する約束をしていたから、やっぱり今日は一緒に帰れない」
涼くんと一緒にいたい。
今日を逃したら、またしばらく会えないかもしれない。
一緒においしいものを食べて、おいしいねって、そんな普通な時間を楽しみたい。
けれどなんとなく、今日はこのままみんなで勉強したいと思った。
先に約束していた義務感とかそんなものじゃなくて、ただなんとなくだけれど。
涼くんの笑顔がどんどん曇る。
「俺、そんなに賢くないけど、2年生の内容ならきっとわかるとおもうよ」
だから、一緒に勉強しよ?
そう言いながら涼くんが、私の手を取る。
「あー、えっと、」
「この前加恋が行きたいって言っていたカフェで勉強しようよ」
食べたいって言っていたシフォンケーキ、買ってあげるよ?
私と視線を合わせながら言う。
「涼くん…………」
シフォンケーキにつられたんじゃない。
ただ涼くんの曇った、寂しそうな笑顔を見るのがつらくて、思わず私はうなずいた。
その時だった。
教室のドアが、ガラガラと音を立てながら開いた。
「あっ」
出てきた本人は、少し気まずそうに私を見ると、視線を下に向けた。
「ごめん」
邪魔をしたとでも思ったのか、トイレに行きたくて、と彼はもごもごと言ってから、涼くんをみてぺこりと頭を下げた。
「大橋くん、勉強、順調?」
なんとも言えない空気をごまかしたくて、私は彼に尋ねた。
「う、うん」
大橋くんは少し目を見開いて答える。
「あ、けど、英語、あとで質問してもいい?」
「わかった」
即答した私に、大橋くんは遠慮気味ににへっと笑った。
“滝川さんの、おかげ!”
トイレのほうへ去っていく大橋くんの背中を見ていると、嬉しそうに断言してくれた様子が自然とよみがえる。
「涼くん、ごめん」
気が付くと私は謝っていて、自分でもハッとした。
「なにが?」
涼くんは確かめるように私に問う。
「一緒に勉強してくれるんだよね?」
私の顔を覗き込む涼くんから視線を逸らす。
「ごめんね、ずっと前から今日はみんなと一緒に勉強する約束をしていたから、やっぱり今日は一緒に帰れない」
涼くんと一緒にいたい。
今日を逃したら、またしばらく会えないかもしれない。
一緒においしいものを食べて、おいしいねって、そんな普通な時間を楽しみたい。
けれどなんとなく、今日はこのままみんなで勉強したいと思った。
先に約束していた義務感とかそんなものじゃなくて、ただなんとなくだけれど。