青に染まる
 僕の試験の結果が芳しくないのは両親も予想済みだったらしく、赤点の試験用紙を見せても少し苦笑いされるだけで済んだ。

 そしてふと、考える。

 これが一般家庭だと、「なんでこんな点数採るのよ!?もっとちゃんと勉強しなさい!!」とかガミガミ言われるのが普通なのだろうか。

 僕は親にテストで悪い点数を採っても、何か言われることはない。うちの親は海のように心が広いからだろう。身内贔屓(ひいき)ではない。両親の知り合いが言っていたのだから間違いないだろう。

 僕には三歳年下の弟がいて彼の成績はいいのだが比べたりすることもないし、絶賛反抗期中の弟の態度に対しても何か厳しく言ったりすることはない。随時平穏な家庭である。

 まあ反抗期中の弟が時々父や母のやらかしたことに苛ついて怒鳴り散らすことはあるが、そういう時期なのだろうと両親が流しているし僕も流している。

 そんな家庭だから、親に怒られるなんて滅多になかったのだ。少し自分に甘かっただろうか。

 でも、僕とて万年赤点というのはよくないと思っている。受験勉強のときは誰に言われなくても勉強したし、試験前は勉強している。普段もやった方がいいのか。

 とても簡単な結論に行き着き、僕は毎日勉強をすることにした。白崎幸葵という雲上人には到底及ばないだろうが、赤点地獄からは脱出すべきだろう。

 幸い僕は部活に入っておらず、放課後の時間は有り余っていた。やることといえば、誰に頼まれたわけでもないけれど花壇の整備くらいなものだ。時間はやはり、たくさんある。

 今までだらだら過ごしていたが、その分を勉強に回せばいいのかと僕は画期的なことに気がついた。




 勉強って何をやったらいいのかわからないんだけど。
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