ほんとに?
「映画,みる?」



類くんが腕の中にいる私に聞く。



「うん……」



そんなの,全然気分じゃないよ。

2人で並ぶソファー。

その距離は,人1人分。

まるで,学校の教室。

ー私達は今,他人と同じ距離にいる。



「ぅっ……ふっふぇ…ヒクッはっ…うぅ」

「っえ……百音?」



類くんの困惑した声。

そりゃそうだ。

直前まで,私は黙って隣で映画を見ていたはずだから。

私の悩みなんて何一つ知らない類くんは驚くに決まってる。

でも,なんで,なんで……

ーぎゅうっ

あっ…

苦しいくらいの抱擁。

久しぶりの,ちゃんと類くんを感じる,気持ちのこもったハグ。



「……どうしたの? 百音。なんかあった? 泣かないで」
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