敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
タクシーに飛び乗り、羽田空港を目指す。

怖くて怖くてたまらなくて、全身が震えていた。

でも、コックピットにいる彼のほうが私よりもずっと恐怖を感じているはずだ。


羽田空港に着くと、すでに多数のマスコミが詰めかけていた。

「展望デッキは人だかりになっているから、滑走路のほうへ行きましょう」

お義母さまは私を関係者以外立ち入り禁止エリアへ先導した。

上空では大地さんが乗っている飛行機が旋回している。

着陸時の発火を防ぐため、燃料の搭載量を減らしているそうだ。

管制塔の近くを低空飛行し、管制官が目視で状態を確認したところ、ノーズギア――前脚一本は出ているが、メインギア――主脚四本がなにかに引っかかっているようで、ノーズギアのみでは危険だから、すべての脚を仕舞い込んで完全な胴体着陸をすることになったのだ。

滑走路には消火剤が撒かれ、すでに消防車や救急車が手配されていた。

物々しい雰囲気に、膝がガクガクし、立っているのがやっとだ。

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