敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
そこへ、スーツ姿の風格のある年配の男性が現れた。

彼の進む先にさっと道が開かれ、こちらに向かってくる。

「忠司さん」

お義母さまは男性の腕に手を添えた。

「大丈夫か?」

男性はお義母さまを案じるように優しく声をかけた。

「ええ……。今どういう状況なの?」

「五分後に着陸態勢に入るようだ」

「五分後……」

隣で聞いている私にも緊張が走る。

「そちらはもしかして、大地くんの?」

男性はふと、私に顔を向けた。

「ええ、大地の妻のちえりさんよ。ちえりさん、彼は私の夫よ」

どうやら彼は大地さんのお義父さまで、JP航空の社長のようだ。

「はじめまして、ちえりです……。ご挨拶が遅くなり、大変申し訳ございません」

なんとか頭を下げた。

「こちらこそ申し訳ない。こんなところで初対面するなんてね……。大地くんも一緒に、近々ゆっくり食事でもしよう」

「はい……」

「まずは無事に着陸することだな。キャプテンの佐合(さごう)くんは何度か緊急着陸の経験もあるベテランだから、安心して」

お義父さまの言葉に少しだけほっとした。

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