敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「……なるほどな。だからパイロットとは結婚したくないんだな」

「そうです」

「飛行機は公共交通機関の中で最も安全だと言っても、そういう問題じゃないんだろう」

私はうなずいた。

大地先輩の言う通りで、理屈は理解できても心がついていかないのだ。

「きっと大地先輩が仕事に行くたびに、私は気が狂いそうになります。だから……」

「離婚する気はない」

「え?」

今の話の流れでは納得してくれたと思ったのに、大地先輩はためらいもせずに離婚を撥ねつけた。

彼はまっすぐな目で私を見据えてくる。

「どうしても離婚してほしいなら、俺が操縦する飛行機に乗れ。話はそれからだ」

「そんな……無理です……」

「なら諦めろ」

一蹴され、私はわななく。

どうして私の気持ちをわかってくれないのだろう。

「大地先輩の鬼畜!」

「なんとでも言え」

「……っ、そもそもなんで大地先輩なんですか! 大空先輩とかだったら騙されなかったのに! 大地なんてそんな素敵なお名前、いかさまです!」

まるで駄々を捏ねる子どものような噛みつき方をしてしまった。

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