敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
さすがの大地先輩も面食らっている。

「けなされているのか褒められているのかわからないな。要はおまえ、俺が好きなんだろ」

「な……!」

私は言葉に詰まった。だめだ、すべて見抜かれている。

大地先輩と離婚したいのは本気だけれど、彼に離婚する気はないと言われてうれしい気持ちも否めないのだ。相反する気持ちを同時に抱いてしまうのは、完全に惚れた弱みだった。

「とにかくおまえが俺の交換条件を飲むまでは、普通の夫婦として接してもらう」

大地先輩がそう言い放ったとき、彼のスマートフォンが鳴った。

話はついたとばかりに、彼は自室に向かってしまう。

どうしよう。彼が操縦する飛行機になど乗れるはずがない。ならば私は彼と耐えがたい結婚生活を続けるしかないのだろうか。

明日、彼はパリへ飛ぶと言っていた。

想像するだけで暗澹とした気持ちになった。








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