敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
……ハワイに着いたら、百回キスしてもらうんだから。

キスしてもらうまで死ねない。

しばらくすると、離陸時の機内アナウンスが入った。

心臓が早鐘を打つ。

なんとかこらえて目を瞑った。

ハワイに着いたら結婚式まで、ホテルで三時間くらいは睡眠を取れそうだけど、できるだけ機内で寝ておけと言われていたからだ。

……大地さんが操縦桿を握っているんだから大丈夫。

北海道への往復便で、彼に隣に座ってもらっているときは、道連れのような気持ちだったけれど、今回は彼に命を預けているという信頼感がある。

それでも離陸時は嘔吐感を覚えたし、安定飛行中にシートベルト着用サインが点灯し、飛行機が急降下したときにはパニックに陥りそうになった。

上下降の繰り返しがなんとか収まった頃、機内アナウンスが入る。

『みなさま、只今シートベルト着用のサインが消灯いたしましたが、安全のため、着席中は常にシートベルトをお締めください。なお、揺れましても飛行の安全性にはまったく影響がございません』

大地さんの声だ。

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