日本から出られない！

「午後の便でアメリカに行こうとしていたんだな。行き先はワシントンか……。治安が悪いな。言っただろ？最低でも僕と一緒じゃなきゃ海外には行かせないって」

心に恐怖はもちろんある。だけど、自由にさせてもらえない不満が爆発して、怒りに変わった。

「私は！前くんのこと、幼なじみとしか思ってない。恋愛感情はないの。それなのに、強引に恋人みたいに束縛されたり、同居させられたり、すごく嫌だった。もう自由になりたいの！」

そう気持ちを一気に吐き出すと、大声を出したせいか息が切れてしまう。そんな私を、前くんは冷たい目で見た後、軽々と抱き上げる。

「放して！」

「僕から逃げるなんて許さないし、日本から出ることも許さない。でも、閉じ込めてしまうのは犯罪だ。でもね、桜、君が逃げたくても逃げられなくなる方法があるんだよ」

そう言いながら、前くんは自分の寝室へと向かう。そして乱暴に私をベッドに放り投げ、私の手首を一つに纏めて拘束した。

「子どもがいれば、嫌でもここにいるしかないだろ？」

目を猛獣のようにギラつかせ、前くんは私の唇を奪った。