レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
12.解体



目が覚めると白い天井が視界に入り、ここが病室だと理解するまで少し時間がかかった。

病院の前で倒れて脳しんとうを起こしたのだと、看護師さんから説明をされ再び目蓋を下ろした。
次に目が覚めた時は、白いベッドの横に父と母が立っていた。




「お前は何て騒ぎを起こしてくれたんだ!?」


"パン"と鋭い音と同時に響き渡るのは父の怒鳴り声だった。



「寄りによって、黒田くんの入院している病院でこんな事が……相手の女は黒田くんちに出入りしていたそうじゃないか!?」


威圧的な声に頭がぐわんぐわんとする。叩かれた頬に鈍い痛みが広がっていくのに、現実だと感じられなくて不思議な感覚だった。

ゆっくりと顔を上げれば、血の気を増して眉をつり上げる父と、その隣に母が静かに口を結んでいた。昔から父に口ごたえしない母は、ただ立っているだけ。



「何をやっていたんだ?あの女と一緒になって、くだらないことに巻き込まれて。たかが他に女がいた位で、黙って言うことを聞いていればいいものを………ちっ、くだらない」


すぐに背中を向けて、病室の外へ向かうために歩き出す。母は一瞬だけ振り返るも、そのまま父の後ろについて足を進めていった。


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