レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
なんだか、本格的に頭痛がしてきた。
午後の授業に支障が出る前に、薬だけでも貰っておこう。
職員室に戻る前に保健室の扉を開けると。
「失礼しまーす。橘先生、ちょっといーですか……」
「あ、ちょっと待って」
女子生徒が長椅子に座って、すぐ隣に橘先生が寄り添うようにしゃがみ込んでいた。
しまった。保健室だから当たり前なのだけど、先約がすでにいた。
「ご、ごめんなさい。お邪魔しました……」
慌ててドアを閉めようとしたところで、
「い、いいんです。先生どうぞ」
女子生徒がうつ向いたままそう口にする。
上履きの色から2年の女の子だけど、目を伏せて泣いていたようだった。
「ごめんね、取り込み中。大丈夫?すぐ出てくからね」
頭痛薬を取りに行った、薬品の入った戸棚の前にいる橘先生の背中にチラリと目を向ける。
「せ、先生は大丈夫ですか?頭痛いんですよね?」
「えぇ。でも、ちょっと薬飲んでおけば平気よ」
「そっかぁ、仕事だからそれ位じゃ休んでられないですもんね」
「そうねぇ」
小さなため息を吐くこの女の子は、泣いてしまう程 何か辛い悩みごとでもあるのだろうか。