レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「俺、授業戻りまーす。橘先生、お世話になりましたー」
太央がベッドから立ち上がり、手をひらひらとさせながらゆっくりと保健室をあとにする。
扉が閉められて保健室に残されたのは、ベッドの前に立ち尽くす私と養護教諭の橘先生の2人。
「三木先生、……なんかいろいろ大丈夫?」
「だ、大丈夫ですっ」
裏返る私の返事に、眉を潜めて微妙な表情を見せる橘先生が、気遣ってくれているのが分かった。
「あのさ……。今日は他の生徒達この部屋にきてないけど、休んでる時もあるから私語には気をつけて」
「は、い。ごめんなさい」
「変な噂とか困るでしょう。ね?」
「……」
「感情的になるのはじめて見たけど。三木先生も……、黒木くんも」
「……」
「それと、三木先生。溜め込まない方がいいよ。なんでも相談に乗のるからね」
太央との会話の内容を聞かれたのに、詳しくは聞いてこないのは、大人の優しさなのだろか。
彼女が私の両手をぐっと力強く握るから。
興味本位ではない、心配をしてくれているのだと痛いほど伝わってくる。
私はその場で立っているのがやっとで。足元はぐらぐらして今にも倒れてしまいそうだ。