レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加



「珍しいね、志保ちゃんが太央を気にするの」

「ほら、家に帰ってきこないって前に話してたじゃないですか……」

「あぁ、アイツは相変わらずだよ」


困ったように笑って見せる成央さんは、太央が自由で羨ましいと思っているのだろうか。


今日、私がこの家に泊まり来ることを知らされているのだろうから、必然的に太央はいると思ったのに。

ホッとしたような、モヤモヤと複雑な思いになるのは何故なのか。




「あらー、志保ちゃんいらっしゃい!!」


その時、おばさまがリビングの扉から玄関に顔を出してきた。



「おばさま、お邪魔します。今日はお世話になります。あ、これ。良かったらこれ」

「まー、そんな気を使わなくてもいいのに。でも、ありがとう」


人気のケーキ屋さんの紙袋を差し出せば、「夕飯の後に皆で食べましょう!」とテンションを高くして受け取ってくれる。



「あの、何かお手伝いする事ありますか?」

「今日は殆ど買ってきちゃったから、大丈夫よ!成央くんと待っててね!」


家に上がりながらそう言えば、おばさまに成央さんの部屋まで背中を押される事となる。


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