真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
「おお、我が愛しの娘。元気そうで嬉しいよ」

抱擁し合う親子。

「パパ。ラブが大変なのですが…何とかできないものでしょうか?」

「ああ、大変残念なことだった。でも必ず無事に開放される様、私も力を尽くすよ」

ラルフの娘ヴェロニカ。
その命を救ったのもラブであった。

「さあさあ、積もる話もあることでしょう。中へどうぞ」

鷲崎が秘書に案内を指示する。


国防に関する報告や、会談を2時間程で済ませ、鷲崎は帰って行った。



~ヴェロニカの部屋~

「さすがにテラだな。ロシアのどの基地よりも立派な防衛網が敷かれている」

会談の後、テラの中を案内されながら、ラルフは至るところにあるセキュリティ装備を確認していた。

「パパ。ほとんど職業病ですわよ」

「ハハ、まったく困ったものだ。ああ、そう言えば・・・」

ラルフは内ポケットから小さなメモリーチップを取り出した。

「ママからのビデオレターだよ。大のメディア嫌いだから、収録交渉はずいぶんと難航したがな」

「ほんとに!嬉しいわ。ママにはもう何年会っていないでしょうか・・・」

涙ぐむヴェロニカ。

「まぁ、見てあげてくれ。それはそうとして・・・」

真顔になるラルフ。

「先日報道されたラブの秘密について、お前は何か知っているのか?」

一瞬鋭い目を向けるヴェロニカ。

「ラブの秘密は知らないわ。でももし、知っていたとして・・・。例え相手がパパであっても、話すことはできません」

「そうだな。つまらない質問をして悪かった。父親というものは、たとえ間違った選択だとしても、愛する娘を守りたいと思うものなんだよ。気にしないでくれ」

「パパ・・・。ありがとうございます。とにかく今は、ラブのことが心配で」

「大丈夫だよ。彼女は運の強い星の元に生まれている。私にはあの額の紋章がその証しであるかの様に思えるよ」

部屋のメモリードライブで、母親からのビデオレターを見ようと、再生ボタンを押したヴェロニカの動きが止まる。

「パパ。外に出て、何か食べましょうか」

「ママを見ないのか?」

「後でゆっくり見ます。さぁ、美味しいものをご馳走してさしあげますわ」

半ば強引に父親を食事に誘い出したヴェロニカ。

誰もいなくなった部屋に、母親の優しい声が、流れ始めた。
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