真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
【25】真実へ
ヴェロニカも、オーシャン・ビューでの父親とのディナーを楽しみにしていた。

しかし、テラで、あれ以上会話を続けることはできなかった。

お台場を離れ、タクシーで都心へ向かう。

「パパ、リクエストはございますか?」

「ああ、GINZA(ぎんざ)の夜を体験してみたいものだが・・・お前を連れてはマズイかな」

「かまいませんわよ。ママに写真を送らせてもらいますけどね」

「おい、それだけは許しておくれ。まだやり残したことがあるんでね」

ラルフの胸で携帯が鳴る。

(この曲・・・やっぱり・・・)

ラブの曲『PEACE OF EARTH』のサビであった。


「君か・・・丁度良かった。今娘に、東京のどこへ行きたいか尋問されていたところだ」

「・・・尋問って⁉️」

無言でヴェロニカが抗議する。

「・・・分かった。そうするよ」

携帯を切る。

「もう!お決まりになりましたか?」

「横浜は遠いのか?」

「横浜ね・・・。イイところがありますわ。運転手さん。お願いいたします」

タクシーは、一路横浜へと進路を変えた。




首都高速から、新しくできたシーサイドハイウェイに移る。

海の上を走る真っ直ぐなハイウェイである。

「素敵。この道は始めてですわ」

ヴェロニカが遠くの海を見つめた時。
闇の海上に、ポツンと光が生まれた。

次の瞬間。

「ズドドーンッ💥💥」

前方のハイウェイに火柱が上がった。

「キキキキーッ!」

急ブレーキで停止する車たち。

何台かが海へ転落し、路上ではひどい衝突事故が発生していた。

「いったい何でございますか?」

車を降りるヴェロニカ。

前方約300メートルの道路が完全に破壊されていた。

悲鳴と罵声、炎上する車。
最悪の状態であった。

(…んっ?)

空気を切る音が近づいたと思った時、下方の海から真っ黒なヘリが浮かび上がってきた。

「伏せろ❗️」

ラルフが叫ぶと同時に、ヘリの機銃が掃射される。

「ズガガガガガガガ❗️」

逃げ惑う人々が、次々に餌食となり、数台の車が爆発、炎上する。

近くにいたアベックの車が爆発し、その勢いでラルフが軽く吹き飛んだ。

「パパ⁉️」

叫んだヴェロニカの周りを、黒い人影が囲んだ。

「何ですか、あなたたちは⁉️あっ・・・」

背後からスタンガンを当てられ、ヴェロニカは気を失った。

数人が、降下してきたヘリへと彼女を運び込む。

僅か数分で、ヘリは、夜の闇へと消えて行った。
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