真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
【26】太古の要塞
~ナスカ~

地上絵が連なる広大な大地の地下。

そこに、最近見つかったばかりの『ペレ遺跡』があった。

今回のPV撮影の舞台である。

メイは、日本での出来事をまだ知らない。


「小田さん。イメージ作りはどう?」

遺跡の最深部には、30メートル四方ほどの広い部屋があった。

その一番奥の壁には、たくさんの図形が描かれている。

スタッフたちと構想を練っていたメイが、壁を見つめて立つ小田に話しかけた。

「あぁ。だいたいはね。しかし…なんだろうね。この壁」

「さぁね…まぁ、それは賢い学者さん達に任せましょ!」

メイの心は、完全に彼に傾いていた。

しかし、飛行機の中で彼の話を聞き、その心は永遠に、今は亡き恋人(坂本楓)のものであることを知ってしまったのである。


「少し遅くなったけど、お昼にしましょ」

メイが天井を指差す。

「そうですね。ちょっと外の空気も吸いたいし」

スタッフに告げて、二人は部屋を出る。

迷路の様な通路を地上へと向かって行った。


「小田さん…」

恥ずかしそうなメイ。

「てを…手をつないでもらっていいですか?」

「ハハ、メイさんでも、ここはやっぱり気味が悪いよね。いいですよ。はい。」

ここだけの話、メイが怖いのは、体重計だけである。


そっと差し出された小田の手を握る。

「ありがとうございます」

「どう致しまして。ハハ」

小田も彼女の気持ちには十分気付いていた。

そうは思わせず、また、楓との秘密を話したのは、彼なりの優しさであった。


孤独だった頃。

幸せな人生など諦めていたメイにとっては、それだけでも、本当に幸せだったのである。
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