真・T☆LOVE 〜滅亡の時〜
少しの間、沈黙が続いた。

床に崩れ込んでうつ向いたラブ。

やがて、小さなヒソヒソ声が始まった頃、ラブの挙動に、全員が、いや、全国民が再び沈黙した。

ラブは中央の床に正座し、手を突き、ゆっくりと額が床に着くまで頭を下げた。


「失礼なことを言って、ごめんなさい。この通り、謝ります。でも、どうかみんな、目を覚まして下さい。あなたたちに、今まさに人の命と、国民の信頼が掛かっています。これ以上、国民を裏切らないで下さい。お願いです。救助の許可を…。力を貸してください。もし・・・もしも、その結果、決断したあなたたちを国民が責めたら・・・、その時は・・・、その時は、私はこの国をあきらめます。その時は・・・もう・・・、守れない・・・。お願い・・・。私はまだ、あきらめたくない」


誰も動けなかった。


長い沈黙の後、最初に口を開いたのは、鷲崎首相であった。

「トーイ・・・いや、ラブ。君の思い、シッカリ受け取った。すまなかった。君はいつも、そこまでこの国の人々のことを思ってくれていたんだね」

鷲崎は、彼女のそばに、ひざまづき、深々と頭を下げた。

そして、ラブの手を取った。


「さぁ、立ってくれ。もう二度と、君にこんなことはさせないよ。ほら見てごらん、ラブ」

周りを見渡すラブ。

そこでは、全ての者が、頭を下げていた。
渋々の者もいたが、中には涙を流す者も大勢いた。


「ありがとう。みんな。信じていいよね。まだ、ここにいていいよね」

鷲崎の大きな胸にすがって、ラブは大声で泣いた。


震えるラブの背中を、ポンポンと軽く叩く。

その鷲崎が、大きな声で言った。

「この中に、まだ彼女に喧嘩を挑む者はいるか!?彼女は…強いぞ」

場内から笑い声が湧き上がり、次第に拍手へと変わって行った。


「大崎大臣、松阪総本部長、直ちに自衛隊を向かわせて下さい❗️」

首相の指示に松阪は、少しバツが悪い様子で答えた。


「実は…、既に大型ヘリ20機が現地へ向かっています。・・・先ほど、彼女から電話がありまして・・・」

ラブの右手がVサインを出していた。
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