アメリカから出られない!
高校生なら多感な時期なため、家に遠く離れた国の他人がやってくることに嫌悪感を抱くのも仕方ないのかもしれない。反抗期真っ只中の弟を思い出し、苦笑いをしながらジュースに口をつける。

その時、「ただいま〜」とどこか気怠そうな声が響く。夫妻が「帰って来たな」と言った直後にリビングのドアが開いた。

ビロードのような美しい金髪に、空を思わせる青い目をした男子校生がバスケットボールを片手に入ってくる。その顔立ちはとても華やかで、一瞬見惚れてしまう。

「あっ、君……」

男子校生が私を見て少し驚いた顔を見せ、母親が「昨日、散々説明したでしょ!日本から留学の女の子が来るって!」と呆れたように言う。私は立ち上がり、安心させるように笑顔を見せる。

「日本から来ました、赤羽綾音です。仲良くしてくれると嬉しいな」

「……えっと、オーウェン・スミスです。よろしく」

頬を赤く染め、少し恥ずかしそうにオーウェンは言う。とっても可愛い!そして恥ずかしがるオーウェンに笑いながら、手を差し出して握手した。
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