アメリカから出られない!



スミス一家の家に住み始めて三ヶ月ほどすると、あれだけ恥ずかしそうにしていたオーウェンも甘えてくれるようになった。

「綾音〜!」

私が朝食を作っていると、背後からオーウェンが抱き付いてくる。「危ないよ」と言いながら料理の続きをするんだけど、オーウェンは私のことを離さず頭を肩の辺りに押し当て、グリグリと動かす。地味に痛い。

「……昨日、男と帰ってたでしょ?」

オーウェンが少し怒っているような声で言う。ああ、同じ講義を受けてる人のことか。

「帰るのが遅くなったから、送ってもらったんだよ」

オーウェンはやきもち焼きで、私が男性と出かけたり、送り迎えをしてもらうと、こうして拗ねるのだ。小さい頃、寂しがって自分の後をずっとついて来た弟や妹のことが浮かぶ。

「お姉ちゃんを取られるみたいで寂しかったの?大丈夫だよ、あの人はただの友達だから」

あまりにも拗ねるオーウェンに対し、振り返って、頭を優しく撫でる。オーウェンの髪は柔らかく、まるで猫みたいなんだよね。
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