また風に抱きしめられるまで、何時までもここでずっと待っている
プロローグ
きみと会う前の自分を、思い出してみる。

風が冷たくて、

頬に突き刺さるように痛かった。

私にとって風は、身体を突き刺す刃物のようなものだった。

寒くて、こわくて、身体が凍てつきそうで、私はこわれかけていた。

自分の周りだけ、空気がなかった。息ができなかった。

重力がこれでもかというほど、全身にのしかかってくる。



どれほど明日が来なければと願っただろう。

どこかに、逃げたかった。

こんな世界、諦めてやろうと思った。

たぶん、自分の存在を認めて欲しかったんだと思う。居場所が、欲しかった。

世界がモノクロで、濁っているように見えて、気持ち悪かった。
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