イケメン総長は、姫を一途に護りたい
「で…でもっ。千隼くん、あのとき…お父さんの頼みから解放されて清々するって…」


建前として光さんと勝負したんだろうけど、あの結果は、千隼くんが望んだことなんじゃないの…?


不安げな表情で見上げるわたしに、千隼くんは下唇を噛みしめた。


「…そんなの、本心なわけねぇだろっ」


その言葉に、わたしは目を大きく見開く。


「いくら慧さんの頼みだからって、好きでもねぇ女をこんなに必死になって守るかよっ。…気づけよな」


力強く、ギュッと抱きしめられる。

わたしは、ただ呆然と千隼くんに身を委ねているだけだった。


だって…。

嘘みたいで、夢みたいだけど。


それって、千隼くんがわたしのことを…『好き』って言ってくれているの?



「…ごめん、こんなことして。咲姫は二階堂の女だってわかってるのに、…気持ちを抑えられなかった」
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