総長、私のリボンほどいて。🎀


「…話って何?」
 7月11日の朝。屋上で右肩に鞄をかけた月沢(つきさわ)くんが尋ねてきた。

 私は右肩にかかった鞄の紐をぎゅっと持ち、軽く頭を下げる。

「一刻も早く謝りたくて…」
月沢(つきさわ)くん、深夜にベランダ行けなくてごめんなさい」

「…昨日帰るの遅かったし気にしてねぇよ」
「…それよりあいつとはちゃんと話せたのか?」

「うん、不審者の書庫蘭(しょこら)高校の男の子達に襲われたことだけは話したよ」
「そしたら…」

「…そしたら?」

「離してくれなくて…」
「寝る時も私がちゃんと眠るまで(そば)で見ててくれてて…」

「…あぁ、どおりで」

 サラッ……。
 月沢(つきさわ)くんが私の髪に触れ、甘く囁く。
「…あいつの香りがすると思った」
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