総長、私のリボンほどいて。🎀

 体の力が抜け、私はその場にぺたんと崩れ落ちた。

「…おい、星野(ほしの)、大丈夫か?」

「うん、大丈夫…」

 月沢(つきさわ)くんが手を差し出してきた。
 私は手を伸ばす。

 あ、指が触れて……。

 バッ!
 私はすぐに手を引っ込める。

「…は?」

「あ、だ、大丈夫」
「自分で立てるので…」
 私はそう言って自分で立ち上がった。

 月沢(つきさわ)くん、せっかく立ち上がらせようとしてくれたのに。
 き、気まずい…。
 それに……。

 “月沢(つきさわ)くんが〜暴走族有栖(ありす)の〜総長だからに決まってんだろ”

 天川(あまかわ)くんの言葉が脳裏から離れなくて――――。

 キーンコーンカーンコーン♪
 HR(ホームルーム)前の予鈴が鳴り響く。

「…あ、教室戻るね」
 私はそう言うと屋上の扉を開け、階段を駆け下りて行った。
< 203 / 480 >

この作品をシェア

pagetop