総長、私のリボンほどいて。🎀

「…氷雅(ひょうが)、お前に殺されるなら本望だ」

 ――――ガッ!
 氷雅(ひょうが)は左手で怜王(れお)の胸倉を掴んだまま、上がったベットの枕に押し付けた。

「痛っ……」

「馬鹿野郎が! 俺がどんな気持ちで、ありすの兄貴に戻ったと思ってる!」
「てめぇがありすを幸せにしなくて誰がすんだよ!?」

 ガチャッ。
 病室の扉が開く。

「あなた達、何をやってるの!?」
 見回りの女性看護師が叫ぶ。

「うるせぇな、黙ってろ!」
 氷雅(ひょうが)が怒鳴ると女性看護師は助けを呼びに行く。

「…ありすのこと、黒有栖(くろありす)のこと頼む」

「てめぇに言われなくても俺が全部守ってやるよ」

 窓から見える月はハーフムーンに近く、半分は夜空に隠れ、もう半分は輝きを増す。

 氷雅(ひょうが)が一筋の涙を流すと、
 怜王(れお)も静かに涙を流した。
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