総長、私のリボンほどいて。🎀

 え?

「今…なんて?」

月沢(つきさわ)は東京の高校へ転校し、父親とマンションで暮らすそうだ」
「もうとっくに知っていると思っていたが、まさか知らなかったとはな」

 嘘…でしょ? そんなの聞いてない…。

月沢(つきさわ)くん…いつ東京に行くんですか?」

「今日発つと言っていたな」

 え、今日!?
 だから氷雅(ひょうが)お兄ちゃんと月沢(つきさわ)くん、喧嘩して…。
 夕日(ゆうひ)ちゃん達もきっと、このこと知ってたから朝、様子おかしかったんだ。

 私はぎゅっと鞄の肩紐を持ちながら俯く。

 まただ。
 また私だけ知らない。
 それが悔しくて仕方ないよ――――。

「…ありす!」
 夕日(ゆうひ)ちゃんの声が聞こえ、顔を上げて廊下を見る。

 後ろに鞄を肩にかけた夜野(やの)くんと三月(みつき)くんもいた。

「…今、病院のお父さんから凜空(りく)に連絡があって、怜王(れお)退院して東京の病院に転院するらしいよ」

 え……退院して転院した?
 どういうこと?

「…だからありすも一緒に見送りに…」

 ――――タッ!
 駆けて教室から出ると、夕日(ゆうひ)ちゃん達を横切っていく。

「ありす!」
 夕日(ゆうひ)ちゃんが叫ぶと白瀬(しらせ)先生は、ふ、っと笑う。

「やはり、変わったな」
< 430 / 480 >

この作品をシェア

pagetop