総長、私のリボンほどいて。🎀
え?
「今…なんて?」
「月沢は東京の高校へ転校し、父親とマンションで暮らすそうだ」
「もうとっくに知っていると思っていたが、まさか知らなかったとはな」
嘘…でしょ? そんなの聞いてない…。
「月沢くん…いつ東京に行くんですか?」
「今日発つと言っていたな」
え、今日!?
だから氷雅お兄ちゃんと月沢くん、喧嘩して…。
夕日ちゃん達もきっと、このこと知ってたから朝、様子おかしかったんだ。
私はぎゅっと鞄の肩紐を持ちながら俯く。
まただ。
また私だけ知らない。
それが悔しくて仕方ないよ――――。
「…ありす!」
夕日ちゃんの声が聞こえ、顔を上げて廊下を見る。
後ろに鞄を肩にかけた夜野くんと三月くんもいた。
「…今、病院のお父さんから凜空に連絡があって、怜王退院して東京の病院に転院するらしいよ」
え……退院して転院した?
どういうこと?
「…だからありすも一緒に見送りに…」
――――タッ!
駆けて教室から出ると、夕日ちゃん達を横切っていく。
「ありす!」
夕日ちゃんが叫ぶと白瀬先生は、ふ、っと笑う。
「やはり、変わったな」