総長、私のリボンほどいて。🎀


「はぁっ、はぁっ…」
 電車に乗って15分後。私は月沢(つきさわ)くんのマンションの部屋の前にいた。

月沢(つきさわ)くん、いる!?」

 部屋に向かって叫ぶも何も返って来ない。

 私はドアノブを回してみる。

 ガチャッ。

 え?
 なんで開いて――――。

 扉を開けると玄関から居間まで空になっていた。

 え、空?
 嘘、だよね?

「ありす!」
 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんが松葉杖を突いて玄関に入って来た。

 私は振り返ると驚く。

「え、氷雅(ひょうが)お兄ちゃん…? なんでここに…いるの?」

「病院から抜け出して来た。さっき怜王(れお)とここで別れた」

 え……。

氷雅(ひょうが)お兄ちゃん…知ってたの?」

「あぁ」

「なんで教えてくれなかったの!?」
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