総長、私のリボンほどいて。🎀

 ほんのりスパイシーなシトラスの香りがする。

「…!」

 エアコンに学習机とベットだけのシンプルな部屋の中で、
 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんが扉の横の壁に左手を突いて右手で顔を覆い、床に崩れ落ちていた。

 薄いブルーの半袖シャツのボタンは全て外れていて、
 ペンダントヘッドに雪のマークがついているネックレスが見えた。

氷雅(ひょうが)お兄ちゃん!」
 私は慌てて部屋の中に入り、氷雅(ひょうが)お兄ちゃんの隣にしゃがんで肩に手を当てる。

「大丈夫!?」

「あぁ、着替えてたらちょっと眩暈(めまい)がしただけだ」
「すぐ晩飯…」

「作らなくていい。私が作るからもう寝て」
 私は強く言う。

「お前作れねぇだろ。後で寝る」
「心配かけて悪かったな。もう大丈夫だ」

 私の両目が潤む。
「私が大丈夫じゃない」

「じゃあ」
 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんは私をぎゅっと抱き締める。

 開いたシャツの隙間から直接触れる氷雅(ひょうが)お兄ちゃんの胸。
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