総長、私のリボンほどいて。🎀


 私が高校生になる前の春休み。

氷雅(ひょうが)お兄ちゃん、どうしたの?」
 居間で呆然と立つお兄ちゃんに話しかけた。

 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんは暗い顔をする。
「…両親とも出て行った」

「え?」

 お母さんとお父さんが?
 氷雅(ひょうが)お兄ちゃん、何言ってるの?
 意地悪言わないでよ。

「あ、手紙? 見せて」

「お前は見るな」

氷雅(ひょうが)お兄ちゃん、見せてよ…!」

 私が無理矢理取ろうとすると、
 ひらり。
 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんの右手から手紙が床に落ちる。
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