Mazzo d'amore
「私達ね、今日が金婚式だったんですよ」

ご主人が笑顔で話しかけてきた。

「金婚式って…結婚50年!凄いですね、おめでとうございます!」

「ありがとう、中々夫として至らない点が多い私を妻がよく支えてくれたおかげだと思っています」

そう言うご主人に奥様はいえいえと照れていた。

「私は昔、中学校の教師をしてましてね。学校が終わった時間外なんかでも生徒の面倒を見たりとしていたので妻にいっぱい迷惑をかけたんですよ。当時、私の息子も幼いのに自分の家族よりも他の家族を優先なんかしちゃったりして」

頭をぽりぽりかきながら話していた。

「あぁ、そうなんですね、確かに自分の子供と天秤に掛けた場合時間外なんだったなら家庭の時間も大切にして欲しいと私も思うかもしれないですね」

そう言う私に奥様は優しい声でご主人を擁護した。

「でも、両親を失った教え子さんもグレる事なく立派な大人になれた事が本当に良かったなと私は思ってますよ」

「………ありがとう。本当に妻には感謝しても感謝しきれないぐらい本当に感謝してます」

「いえいえ、こちらこそありがとうございます」

そんな二人を見て結婚50年と言う長い年月が来れたのはただ単に仲の良いだけでなく互いが互いに支え合ってるのだから来れたのだなと言うのがよくわかった。
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