Mazzo d'amore
「これ、良かったらサービスです。お祝いとしてさしあげますので」

私はクリームパンを差し出した。

「まあ、四角い形のクリームパン」

「私小さい頃から好きで、今日沢山作ったので持ってきてるんです」

「へぇ、あなたが作ったの?」

「はい、旦那と一緒に」

私はニコリと微笑んだ。

「シュークリームがクリームパンの起源らしいね」

「さすがよくご存じで」

「クリームパンの売り出し時は柏餅みたいな見た目だったらしね」

「知らなかったです、凄い知識あるんですね」

そう言うと隣で話を聞いていた奥様が私を見て微笑んだ。

「あなたのお胸のクリームパンも美味しそうね」

「いやっ!ご主人じゃなくてこういうパターンもあるの!?」

私は声を荒げた。

「ワシは若い子のよりも妻のクリームパンが好きだけどな」

「いやもうなんか凄いなっっっ!」

私は盛大にツッコんだ。

「私達もこう仲の良いように見えるけど色々修羅場なんかもあったのよ」

「え?そうなんですか!?」

「あなたはどう?」

「いえ、まだ私の結婚生活ではなないですが、昔修羅場に出会した事ならありますね」

「えー!聞きたい聞きたい!どんな話し?」

凄い目を輝かせて尋ねる奥様に私は苦笑いした。

「みなさんこういう話し好きですよね」

私はそう言いながらも話し出した。
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