Mazzo d'amore
「ねえねえ、心春のママは?」

「ああ、ウチのお母さんもうお店には立ってないの。なんか色々仕事が忙しいみたいで。他にも色々やってるから」

「ほら、相葉さん家はお金持ちだから」

「いやいや、明菜さんそんな事はないんですけどね」

「でもほら色々やってるじゃない?地主さんだし」

確かに、建築業以外にも不動産やら様々な事を親戚含めて色々していた。

ちなみに翔子さんもウチの親戚にあたる。

すると入り口のドアが開いた。

「こんばんは」

「いらっしゃいませ」

「稜きゅん!いらっしゃいませぇー!」

「私達に見せない女の顔を私の兄に見せんな」

みゆにツッこまれた。

「………ねえねえ、心春ちゃんのお父さんって光太郎さんって人?」

「え?なな、何かうちの子泣き爺がしましたか!?」

「あ!いやいや合ってるなら良いんだよ。特に何かされたとかそう言うわけじゃないから。つか、子泣き爺って」

「あ、子泣き爺って自分であの人言ってるので」

「あ、そうなんだ。愉快なお父さんだね」

そう言うと稜くんはみゆの隣に腰をかけてビールを注文した。

「かんぱーい」

ぐびぐびぐびぐび

「ぷふぁー!練習終わりのビールうめぇ!」

「若いのに良い飲みっぷりね」

「いやー!ビール最高ですね」

翔子さんが稜くんの飲みっぷりに惚れ惚れしていた。

「どうなの?調子は?」

「良い感じだよ、この前の試合も勝ったし」

「え?試合出てるんですか?」

「アマチュアだけどね」

稜くんは格闘家としての道を着々と歩んで行ってるようだった。

「心春ちゃんグッと大人びて見えていつもより、より可愛いね」

「男は釣った魚に餌は与えないってよく聞くけど稜くんは釣った魚にもキチンと餌を与えてくれるタイプなんだねっ」

「心春、それは長年付き合ってる女性が言うセリフよ」

ピーナッツ食べながらみゆに言われた。
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