Mazzo d'amore
私はつくづく自分が弱いと思った。

こんなにも私を愛してくれる人を手放したら二度と結婚は出来ないと思ったら光太郎と離れる事は出来なかった。

「これが婚約指輪になります」

私の左手の薬指にキラリと光る指輪をはめてくれた光太郎。

私と一緒になる事で光太郎を不幸な目に合わすとわかってても弱い私は自分の幸せを取ってしまった。

「京香のお兄さん亡くなって京香まで嫁いでしまったら相葉の苗字無くなっちゃうから俺、婿に行くわ」

「え!いやいや!私、相葉じゃなくて濱谷が良いんだけど!というか濱谷の名前も無くなるんじゃ?」

私は相葉の苗字を1秒でも早く捨てたかった。

「嫌いなんだろ?自分の苗字が」

「うん」

「俺がその苗字を好きにさせるから相葉の苗字にさせてください。それに出席番号1番に憧れてたんだよ俺!」

「大人は出席番号関係ないよ…」

「良いの!」

そして、私達は後日入籍した。

「相葉光太郎!なんか名前めっちゃカッコよくなった!俳優に居そう!」

「ふふふ」

光太郎との新婚生活は楽しかった。

親戚がやってる会社を光太郎は辞めて別の仕事に就いた。

「え?妊娠したの!?」

私はコクリと頷いた。

「やった!やった!凄い嬉しい!」

結婚3年目、念願の妊娠だった。

ちなみに結婚して3年過ぎるが一度もお母さんは許してくれてないので会えてなかった。

「その内、孫が産まれたら母も許してくれるから」

「………うん」

そして26才となり、4月2日元気な女の子が産まれた。

体重2211kg

少し小さいけれど大きな泣き声で私達を安心させた。

「小さく産んで大きく育て」

旦那は私を見てニカッと微笑んだ。

「心春(こはる)春のような温かい心を持ってほしい」

旦那と一緒に考えた末、この名前に決まった。
< 71 / 96 >

この作品をシェア

pagetop