イタリアから出られない!
「俺の家はマフィアだ。俺はそこの新しいボスになった。マフィアは何でもやる。死を偽造するなんて簡単なんだよ」

この人から逃げなければ、そんな思いが込み上げてきて私はルカさんの胸板を押して離れると、ドアに向かって走る。だけど、すぐにルカさんに捕まって腕の中に閉じ込められてしまった。

「放して!!」

恐怖から涙が込み上げてくる。この人を受け入れてしまえば、光の当たる世界には戻れない。だけど逃さないと言わんばかりに強く腕が回され、逃走防止のために手首に鎖をつけられてしまう。

「大丈夫。俺が一生ここで翠を愛してあげるから。愛してるよ、翠」

私の頬を伝う涙を、ぬるりとしたルカさんの舌が舐め取っていく。そして、私は彼からは逃げられないのだと悟り、心が絶望に染まった。






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